ホワイトアウト 3 情報収集という任務は、サクラにまで及んだ。 サクラにはすぐにアカデミーへの入学手続きが取られ、通い始めることになったが・・・そこで得られる情報の逐一を報告させられた。 アカデミー内部の造りから教師の個人データー、図書室の奥にある持ち出し禁止書物の内容など、あらゆることを。 しかし、そんな生活の中でもサクラは親友と呼べる人を見つけた。 カッコイイなと憧れる男の子も出来た。 子供特有の順応能力で『木の葉の里』に難なく溶け込み、今では木の葉の下忍ですらある。 『毎日』はそれなりに楽しく、また有意義なものだった。 ある夜、夕食を囲む三人の下へ草隠れの長から突然書簡が届いた。 その内容に三人は愕然とする。 そこには写輪眼を手に入れろ、そう書かれている。 サクラがカカシの元で教えを受けていることは報告済みだ。 いいチャンスだと長は考えたのかもしれない。 「写輪眼のカカシ・・・か。」 「サクラの先生だよね?」 浅葱と鴇の二人が一斉にサクラを見る。 「う・・ん。」 サクラは弱々しく頷く。 何を期待しているか知らないが、自分にどうしろと言うのだろう? コピー忍者という通り名を持つカカシの写輪眼には2千もの術が記録されていると聞く。 草隠れの長はそれを欲していた。 「カカシをたらし込めないかな?」 「サクラならきっと上手くやれるよ。」 無理だと思った。 相手は木の葉で一、二を争う上忍なのだ。 そんなものは置いておいたとしても、常識のある大人なら『たらしこむ』といった意味で子供の自分に見向きするハズはないのだから。 しかし、長からの命令ともなると出来ないでは済まされない。 地獄のような日々から自分を救い出してくれた鴇のためにもサクラは頑張りたいと思う。 カカシには怨みは無い。 でも。 「がんばって・・みる。」 サクラは俯いたままそう答えた。 「先生、あのね・・・」 上目遣いで見上げられ、眩暈に似た衝撃を受ける。 翡翠色の瞳は潤み、薄いぴんくのグロスを塗った唇は妖しく光って自分の抱擁を待っているようにさえ見えた。 自分を誘ってるだって? 勘違いも甚だしい。 彼女が誘っているのは別の男だ。 そもそも自分は幼児愛好家ではないのだから、サクラは恋愛対象にも性的対象としても有り得ない。 有り得ないはずなのに・・・いつからだろう? サクラのふとした表情や態度にあられもない姿を想像してしまうほど、カカシは目の前の少女を欲していた。 そう・・・欲情、しているのだ。 そんなことを露とも知らない可愛い生徒は自分を『先生』と呼び無邪気に慕う。 任務の帰り道、相談したいことがあると声を掛けてきたサクラを・・・カカシはそのまま自宅へと招いた。 「相談って?」 居間のソファーに座り、落ち着き無くきょろきょろしていたサクラにカカシが声を掛けた。 入れてきたお茶をテーブルに置き、自らもソファーに座る。 「あ、うん。・・・えっと・・」 「サスケのこと?」 「そ、そうなのよ!!どうやったら振り向いてくれるかなー・・なんて。」 咄嗟に苦し紛れの嘘を吐く。 しかしそれは不自然な内容ではなくて、サクラをほっとさせた。 サクラの今日の計画は『相談ごと』をきっかけに今まで以上にカカシと親密になることだった。 まずは仲の良い生徒と先生から。 それを重ねて信頼を得ないと家へ上がりこむことは出来ないと思っていたのに・・・とんとん拍子に此処まで来てしまった。 上手くいき過ぎて気味が悪いほどだ。 しかし、今日・・・この時がサクラにとって大きなチャンスであることには違いないかった。 忘れてはならない。 自分の任務はカカシの写輪眼を抉り出し持ち帰ることだ。 サクラがカカシに付け入る隙があるとすれば、それはもうベッドの中としか考えられなかった。 どんな男だって上り詰めたアノ瞬間にはとても無防備になる。 思い出したくもない過去の経験からサクラにはそれがよくわかっていた。 上手くいけばこのままSEXまでもっていける。 持っていかなきゃ! 「無理だねぇ。」 「え?」 「諦めなって。」 心の中を覗かれたのかと、サクラは一瞬ドキリとした。 話の流れからサスケのことだと思い出せば更に不信感が募る。 いつものカカシなら『サスケが大好きなサクラ』に甘い慰めの言葉をくれるはずだ。 予想外の話の流れに当初の目的も忘れてサクラはカカシの顔をまじまじと見つめる。 ・・・目の前の男はいつもの『先生』ではなかった。 「アイツはね、女を顧みるような男じゃないよ。このままだとサクラが不幸になっちゃうから止めといた方がいい。・・・今まで言わなかったけど、これがオレの本音。」 カカシはそういいながら物憂げに額当てを外すとテーブルの上に置いた。 言葉を発することもなく、ただ驚いたように自分を見上げているサクラが哀れに見える。 これから自分の身に起こることなんてサクラには想像できないでしょーよ。 カカシはサクラをソファーの背に押し付けるようにして捕まえた。 「オレのものになりなよ、サクラ。サスケなんかより比べ物にならないほど大事にしてあげるから。」 まだよく頭の回っていないサクラの唇をカカシのそれが塞いだ。 息苦しさに喘ぎながら・・・あぁ、そうなんだと気付く。 この人は子供にも欲情できる人なんだ。 ・・・良かった。 私さえ上手くやればチャンスはある。 サクラは重くのしかかるカカシの身体の下で・・・ただ、そう思っただけだった。 何がここまで自分を狂わすのか・・・ カカシは気付いた。 匂い、だ。 花の匂いに似た、サクラの匂い。 ・・・雌の匂い。 髪の色と同じ薄紅の茂みに顔を埋めたカカシがぴたりと閉じた割れ目に沿って舌を這わす。 上へと逃げようとした腰をカカシは掴んで離さなかった。 「あ・・いや!」 嫌だと言われても、止めるつもりは毛頭無い。 サクラにはサスケのことはキッパリと諦めてもらうつもりなのだから。 あんな復讐に身を落とした卑屈野郎にサクラを幸せに出来るはずが無いデショ? 確かにサスケもサクラのことを気にかけてはいるようだが・・・所詮は『気にかけている』程度に過ぎない。 オレがサスケに劣る要素はなーいよ。 頭の良いサクラならそんなことすぐにわかるよねぇ? かきたてられる衝動は暴力的で破壊的。 カカシを包み込むのは、雄としての征服欲を煽る匂い。 その匂いを放つ中心へと舌を割り入れた時、カカシは違和感を感じた。 初めてにしては予想外に濡れていて・・・驚く。 まぁ、その方がサクラが痛くないからイイケド。 カカシは差して気にも留めず、馴らすためにサクラの中へと舌を捻じ込んだ。 瞬間、違和感は完全な殺意へと変わる。 誰、だ? 誰がサクラをこんなにしやがった?! カカシが舌を捻じ込む、それと同時に僅かに浮き上がったサクラの腰。 その動きは次に訪れるはずの苦痛を減らすべくとった、サクラの無意識の行動。 初めてであるはずが無かった。 むしろ、慣れている。 くそッッ ・・・殺してやる! どこのどいつだか知らないが・・・ 必ず見つけ出して完全に息の根をとめてやる!! 顔を上げ、細い身体を抱きしめたカカシの両目には剣呑な光が宿っていた。 2004.01.29 まゆ |
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