水面に浮かぶ月  
溺れる太陽 2





初めてのときのことは、よく覚えていない。



近頃ではすっかり日課になっていた、任務帰りの先生の家への寄り道。
その日もいつもと同じ様にサクラはカカシの家のソファに座り、忍術書を読んでいた。
夕刻の光がリビングを朱色に染め上げ、サクラの影が長く伸びる。
世間一般では、もうそろそろ夕食の時間だった。

「ねぇ・・・サクラ。やっても、イイ?」

突然掛けられた言葉にサクラが本から顔を上げた。
「え?何を・・・?」
カカシは問いには答えず、静かに近寄ると薄く笑ってそのままサクラをソファへ押し倒した。
ずるずると引きずられるように・・・ゆっくりと視界が変わる中で、サクラはやっと事の次第が飲み込めてきた。
「ちょ・・っと!!先生・・やめてってば!!」
圧し掛かるカカシの身体をサクラは小さな手で、精一杯突っ張る。
読んでいた本がバサリと音を立てて下へと落ちた。
「やらせて。」
耳元で囁かれるカカシの低い声に、サクラの全身はザワリと総毛立ち、更に強張った身体で必死にもがく。
そんなサクラをカカシは喉の奥で笑うと、その細い首に唇を落とし、舌先でゆっくりと焦らすように舐め上げた。
「ひゃぁ・・っっ」
初めての、何ともいえない感覚にサクラは一瞬動きを止め、その隙にカカシは忍服をたくし上げるとスパッツへ手をかけた。
腰を浮かされ、するりと脱がされたソレはカカシの手から床下へ落ちる・・・。
いつの間にかはだけていた胸元にカカシは顔をうずめると、柔らかな膨らみの先端を口に含んだ。

「大丈夫、イタクシナイヨ?」

その言葉を聞いたのを最後に、サクラは意識を何処かに飛ばしてしまった・・・。





ポストに入れる『カタン』という音と、新聞配達の人の気配をサクラは布団の中で感じていた。
チラリと時計に目をやると起きるには早い時間で、空もまだ薄暗い。

   ・・・やだな。顔、あわせるの・・・・
   任務、休もうかなぁ・・・・


昨日のコト。

どうしてサスケがあんな所にいたのかわからないが・・・・バレてしまった。
先生との関係が。

   軽蔑、したよね?サスケくん。
   あんなにサスケくんのこと好きだって、追い掛け回してたのに・・・
   上司と・・・しかも、一回り以上歳の離れたヒトと関係をもってただなんて。

ふふふ、と自嘲気味に笑いながらも、サクラの大きなエメラルドの瞳からは透明な雫がいくつも流れ落ちる。
一晩中、そんなことを繰り返していたサクラの瞳は赤い腫れが引いてはいなかった。

   先生とのはじまりが、もっと普通であったなら・・・・
   身体からではなく、告白されて・・・デートを重ねて・・・・そんなはじまりだったのなら・・・。
   『上司』とか『歳の差』なんて全然気にしなかったに違いない。
   私は素直に先生の『愛してる』という言葉を信じ、胸に飛び込んでいただろう。
   それなのに!!
   求められるまま、流されるまま・・・身体を重ねている私。
   もう何がなんだかわからない・・・
   私は、どうしたらいいの?

   ただ、サスケくんには・・・サスケくんだけには、こんな醜い私を知られたくはなかった。





家を出る直前まで冷やしていた甲斐あって、瞳の腫れは幾分マシになっていた。
いつもはやらない化粧を薄く施す。
これなら、鋭いサスケくんは無理でもナルトは全く気付かないだろう・・・。
任務を休むことは、やはり出来ない。
私情で任務に穴をあけるなんてサクラのプライドが許さなかった。
サクラは額当てをきゅっと結び、長い溜息をつくと重い足取りで家を後にした。



集合場所にナルトの元気な声が響く。
「サクラちゃん、おはよ!」
「・・・おはよう。」
能天気なナルトの笑顔にほっと息を吐き、微笑み返そうとして・・・サクラはそのまま凍りついた。
ナルトを透り越し、その背後からの刺すような視線。

   サスケくん・・・・。

サクラはサスケと目が合う前に急いで顔を伏せた。
キツイ眼差しが蔑みに変わるのを見たくはなかった。
急に俯いてしまったサクラにナルトは心配そうに声をかけようとしたが、すぐさま目の端に写った背の高い男に興味を奪われる。
「カカシ先生!どうしたんだってばよぅ。時間前に来るなんて?!なんか、ヘンなもの喰ったのか?」
近づいてくる自分達の上司にナルトは大声で叫んだ。
『カカシ』という言葉に俯いたままのサクラの身体がビクリと震える。

「召集がかかった。今から言うとおりに行動しろ。」
「へ?」
間の抜けたナルトの返事を無視し、カカシは言葉を続けた。
「任務内容はスパイの捕獲。人数は4人、うち上忍が2人。現在、中忍2個小隊が谷の方に追い込んでいる。7班はこれから最終包囲網として谷の南側に配置されることになった。・・・おそらく、一時間もあれば決着がつくと思うが・・・・」
「なんだ、捕まえに行くんじゃないのか・・・」
カカシはその残念がるような声にゆっくりと振り向き、胸倉を掴むと力任せに放り投げた。
かなりの勢いで飛ばされたナルトは、木の幹に打ち付けられて止まる。
「お前は任務を何だと思ってるんだ?どんな任務だって命がけの仕事にかわりはない!」
いつもとはまるで違うカカシに投げ飛ばされたナルトはもとより、サクラも顔を上げカカシを見つめる。
飄々とした『カカシ先生』は影を潜め、目の前にいるのは上司たる『はたけ上忍』だった。
ピリピリとした空気が3人を囲んだのを感じ、カカシはほっとする。

   よし、それでいい。
   油断は禁物でショ。
   これはお遊びではなく、実践なのだから・・・

「すぐに谷へと向かう。ポイント地点は南南西728。質問は?」
カカシは3人の顔を見回し、確認を取ると『散開』を告げた。
真っ先に走り出したのはナルト。
続いて動き出したサスケは・・・『昨日は・・・悪かった。』と短く言って、そのままサクラの脇をすり抜けた。

    ・・・どうして、何も言わないの?
   ・・・なんで、謝るの?
   謝られるぐらいなら、なじられた方がよっぽどマシだわ!

再び沈んでくる気持ちを何とか切り替えながら、任務に集中する為、サクラは目を閉じて大きく吸い込んだ息をゆっくりと吐き出す。と、それを吸い取るかのごとく、いきなり唇を塞がれた。
離れようとしたサクラの頭を、カカシの大きな手が後頭部から押さえ込み、噛み付くような、強引なキスを繰り返す。
「ん、・・んんっっ」
巧みに滑り込んできたカカシの舌がサクラのそれに絡みついた。
まだ慣れない深いキスにうまく呼吸が出来ず、サクラは嫌々と何度も首を振る。
口角からはどちらのモノともいえない唾液が細い糸のように伝って落ちた。

「一人で泣くなって言ったでショ?・・・目が赤い。」
やっと押さえ込まれていた腕から開放されたサクラはカカシの理不尽な一言に呆れ返る。
「誰のせいだと思っているの?!」
カカシはそれには答えず、ただ肩をすくめた。
その様子を一瞥すると、サクラも踵を返して走り出す。
たとえ同じ場所へ行くのだとしても、一秒たりとも一緒に居たくなかった。

   やっぱり、『愛してる』なんて嘘!
   からかってるだけなんだわ!
   先生にとって私は・・・手頃なおもちゃなのよ、きっと。

   先生の傍に居ると・・・・・・・私が、壊れる。・・・

   ・・・もう遅い気もするけれど。





カカシ率いる7班は決められた守備範囲に到着すると、各自木の上や草の茂みに身を潜め気配を完全に断った。あとは、任務終了の伝令が来るまでこのまま待機するしかない。
カカシは面白くなさそうにサスケの方をちらりと見やる。

   それにしても、サスケのヤツ・・・。
   あれは、宣戦布告と受け取っていいんだよなぁ?

今までと明らかに違う視線・・・。
集合場所に現れたカカシにサスケは、猜疑と嫉妬が入り混じった、陰湿な視線をぶつけてきた

   そんな瞳で見たって、サクラはオレのものだよ?
   昨日の、見たんだろ?
   いるのがわかっててヤッたんだから・・・
   お前は自分の気持ちに気付くのが遅すぎたんだ。

くっくっ、と喉の奥で低く笑い、今度はサクラの方を見る。
茂みの中で息を殺しているサクラは怯えたウサギみたいだ、とカカシは思った。
庇護欲を煽り、同時に征服欲も掻き立てる。

   サクラがオレのことをどう想っているかなんて知ったことではない。
   オレがサクラを気に入ってるんだよ。
   他の誰かに渡すわけないでショ・・・
   手放す気なんて、毛頭無いね。






「・・・遅すぎる・・・」
彼らが持ち場についてから、かれこれ2時間が経つ。
気を張り詰めたまま待機している3人の下忍達の精神的負担は大きく、限界に近かった。
こうこれ以上は無理だと判断したカカシは、一番近いポイント地点・・・アスマの所まで状況を確認するべくこの場を離れることを3人に告げ、姿を消した。

しばらくして、サクラが装着していたイヤーマイク型の小型トランシーバーから、ジジジという音と共に音声が入る。
「・・・・大丈夫か?サクラ。」
「・・・・サスケくん・・・・平気よ。」
サスケの気遣いに驚き、サクラは一呼吸置いて返事を返す。
もちろん、今までも事あるごとに心配そうに視線を向けてくれてはいたが、こうもあからさまに態度で・・・声を掛けられたのは初めてだった。
「もう捕まったんじゃないのかなぁ?な、サスケ。」
「知るか、バカ。」
ナルトのも集中力が切れてきた様で、会話に参加してきた。
カカシの声だけ、しない。
このトランシーバーはそんなに感度の良いものではなく、通話可能距離はせいぜい1キロ弱といったところだ。ということは、カカシはすでにそれ以上の距離を離れているということになる。
カカシの小言が聞こえないとわかるとナルトはいつもの口調で喋りだした。
その時。
「きゃあ!」
短いサクラの悲鳴がナルトとサスケの耳を刺した。
慌てて駆け寄る二人が見たものは、何者かに背後から押さえ込まれているサクラの姿だった。
首には細身の刀が突きつけられている。
「ほう、下忍のガキどもばかりか・・・まだツキは逃げちゃいねーようだな。」
「!!」
「おっと、動くなよ?このかわいいお嬢ちゃんの首がスパッと飛んじゃうぜ?」
男はその場で踏みとどまる二人をニヤリと笑って満足げに眺めた。
「人質は一人で十分。」
すさまじい殺気と共にクナイが男の手を離れるまさにその瞬間、サクラが背後の男に向かって倒れこむように体重を預けた。
男はバランスを崩し、ナルトとサスケに当たる筈だったクナイは急所を反れて地面に突き刺さる。
「このアマ、何しやがる!」
怒りに任せてサクラの首に添えられていた刀を動かそうとした男は、突然のすさまじい殺気にその場へ立ちすくんだ。刀を持つ手がカタカタと震えている。

「・・・写輪眼のカカシ・・・・」

突如姿を現せたカカシは、呆然と呟く男を無視して躊躇もなしに一気に間合いを詰めると、右手を男の頭へ突き出す。
「お前こそ、何してんだよ?」
カカシの問いに答えることもなく、男の頭は跡形も無く吹き飛んだ
時間差で、まるで雨のように空からボタボタと人間だった肉の破片が降ってきて、サクラの淡い桃色の髪を燃える様な紅色へと変える。
ボトリ、と足元に転がった眼球を見た瞬間、サクラはその場へ倒れこんだ。
カカシは意識を失っているサクラをそっと抱き上げ、ナルトとサスケを振り返る。
「サクラちゃんは?!」
カカシは駆け寄ってこようとしたナルトを、片手を上げて留めた。
「サクラは気を失っているだけだ。心配ないよ。オレはサクラを連れて先に帰る。・・・ナルト、お前ココから西に2キロほどの所にアスマがいるから、呼んで来て指示を仰げ。」
「・・・わかったってば。」
ナルトは心配そうにサクラを見ていたが、言われた通りすぐに走り出した。

「・・・サスケ、お前はコイツでも見張ってろよ。」
カカシはバカにしたようにそう言うと、首の無い死体をサスケの方へと足で押し出した。
そのまま背を向けて歩き出すカカシにサスケが食い下がる。
「サクラをどうするつもりだ。」
カカシは足を止め、頭だけ振り返ると、鬱陶しそうに言葉を返す。
「どうするって・・・そんなこと、お前には関係ないね。」
「関係なくは、ない。」
「へぇ?」
カカシの右の眉がわずかに上がった。
「サクラが好きだ・・・と言ったら?」
「べつにィ。・・・どっちにしろ、もう遅いでショ?」
カカシは最後に一言そう言うと、サスケの精一杯の牽制も気に止めた様子はなく、そのまま里の方へと姿を消した。

   ちっ・・・奪われたのなら、取り返すまでだ!

サスケはカカシが消えた方角を睨みつけて呟いた・・・・。





カカシはサクラを片腕で抱きなおすと、空いた手でシャワーの栓をひねった。
水に手をかざし、温度を確かめる。
適温になると、水圧をやや弱めてサクラを抱いたままシャワーのあたる位置に片膝をついた。
安定するように、立てた膝の方へサクラの重心を移す。
まだ意識を取り戻さない少女は、まるで死んでいるかのように青ざめていた。
手ぐしで何度も紅い髪を梳き、乾きかけの血を洗い流す。
カカシは自分の指が・・・かすかに震えていることに気が付いた。

   一歩間違えれば、死んでた・・・・

その事実がカカシをどうしようもなく不安にさせる。
何も今回に限ってのことではないのに・・・忍びである限り付いて回る『死』の影を、カカシは初めて本気で恐れた。腕の中の少女を失ってしまうことなど・・・到底、考えられない。

   間に合ってよかった・・・

やさしく、やさしく、髪を梳く。
そのたびに淡いブルーのタイルの上を生々しい紅い水が広がり、排水溝へと吸い込まれていった。


青銀の髪を伝い、サクラの頬にぽたりと雫が落ちる。
「ん・・・」
形の良い眉をひそめて2,3度瞬きすると、サクラの意識は完全に戻ったようだ。
「・・・どうして、私、ココに居るの?」
見慣れた場所、ではないが・・・知らない場所でもない。
カカシの家の浴室・・・。
カカシは何も答えないまま、細い首に手を伸ばすとそっと触れた。・・・瞬間、じくじくとした痛みにサクラは顔を曇らせる。
「つぅ・・っ・・」
「無茶するな。」
カカシが触れたソコには・・・浅いながらも10センチほどの幅で血が滲んでいた。
「だって・・・」
「確かに、お前が動かなければあの二人は死んでたけど・・・。」
付け足すように言ったその言葉に、サクラの声が浴室に響いた。
「尚更、良かったじゃないの!!少々の無茶でみんな死なずに済んだのでしょう?・・・これぐらいの傷・・・。」
「これぐらいの傷?」
はっきりと声のトーンが変わったカカシにサクラは体を強張らせた。
唯一隠されていない群青の右目が深みを増す。
「これぐらいって、なんだよ?・・・サクラ。」
カカシは膝の上に抱きかかえていたサクラを冷たいタイルの上に転がすと、その華奢な両肩を押さえ付けた。

「お前はもっと自分を大事にするべきだ。」

面布を引き下げた顔を近づけて首に滲んだ血を舌で丁寧になめ取ると、慣れ親しんだ鉄の味がカカシの口の中に広がる。

「死ぬなんて、許さない・・・」

そう呟いて見下ろすカカシの瞳がいつになく真剣で・・・でも、弱々しくて・・・
ずぶ濡れになっている青銀の髪の先から雫が頬を伝い、まるで泣いているように見えた。
思わず、サクラの手が伸びる。
肩を抑え付けられている為、自由とは言いがたい腕を必死に伸ばし、カカシの頬に触れた。
こんな状況で、自らカカシを求めるように触れたのは初めてだった・・・かもしれない。
カカシもそんなサクラの行動を凝視していた。

「大丈夫。ほら、私・・・ちゃんと生きてるじゃない。」

サクラ自身、何故こんな言葉が口をついて出たのかわからないまま、子供に噛んで含ませる様にゆっくりと伝える。
しかし、カカシは何も言わず、ただ、サクラの唇をむさぼるように口づけを繰り返しながら、忙しく手を動かした。
すっかり濡れてしまって気持ち悪く張り付いていた服が一枚ずつ剥ぎ取られていき、白い肌が現れる。
抵抗らしい抵抗をしていないというのに、カカシはサクラの細い両手首を頭の上で一つに押さえ込み、その膨らみかけた小さな胸に顔を埋めた。
更に、胸の先端を指で軽く摘まみ、揉みしだく。
突然の刺激に、冷たく硬いタイルの上でサクラはビクンと身体を反らせ、喘ぎ声を漏らした。
「は・・ぁんっ・・」
浴室に反響する自分の声が卑猥で・・・サクラは頬を染め、顔を背けた。
声が洩れない様にと唇を噛み締める。が、上手くいかない。
するりと下の方へ伸びたカカシの長い指がサクラの中へと押し入り、中をかき回す。
同時にサクラの中心に触れるか触れないかの微妙な位置で刺激を与えた。
「やぁ・・・んっ・・ん」
執拗に繰り返される行為にサクラはとろり、と何かが身体の中から溶け出すのを意識した。
それはすぐにカカシの指に絡みつき、サクラの中を陵辱する助けをする。
「あっ・・・ぁ・・んっ」
根元まで埋められていた指をいきなり引き抜かれ、サクラはうつろな目でカカシを見上げた。
目の前に突き付けられた指は透明の粘りのある液体で濡れていて、雫は腕の方へと糸をひく。
「サクラの味。」
そう言って、カカシは自分の指をぺろりと舐めた。
「こんな‥こと・・もう、やめて・・・先生・・・」
泣きそうな顔で懇願するサクラに、カカシはあっさりと否定の言葉をかえす。
「ダメ。こんなに濡らしてて、イヤだなんて言っても説得力無いでショ?」
「それは!先生が・・・」
「とにかく、サクラには拒否権なんて無いんだよ。」
そう言いながらサクラの身体を押し広げ、カカシは一気に突き上げた。
「あっ・・」
苦しそうに眉を寄せるサクラを見下ろしながら、カカシは腰を動かす。
徐々に激しくなる動きに、すぐサクラの身体の奥から波のうねりのような快感が押し寄せ、収縮を始めた。
混濁する意識の中、サクラはカカシのことを考える。

   私に『もっと自分を大事にしろ』って言った・・・
   先生も、私が大事?
   もしかして、ホントに私のこと、好き?

サクラは両手を青銀の髪へと伸ばし、頭を引き寄せようとしたところで・・・頭の中が真っ白になった。





大きな窓から月のやわらかな光が差し込み、室内を照らす。
サクラはベッドの中から、丸い月を見ていた。
月の位置で真夜中に近いことを知る。随分と眠ってしまったようだ。
ベッドの主の男はココにはいない。
違和感に、ふと首に手をやると傷の手当てがされており、丁寧に包帯が巻かれてる。
ゆっくりと上体を起こしたサクラは、あまりのことに声が出なかった。
掛け布団が滑り落ちて、現れた自分の素肌に月光が射し・・・浮き上がる無数の紅い花。
「どうして・・・?」
今までカカシはサクラの身体に痕を残したことは無かった。
お陰で誰にも気付かれなかったのだが・・・・

   とにかく、へんな気分だった。
   あのとき、目の前の男を・・・先生を慰めたいと思った。
   どうして『慰めたい』なんて?
   慰めが必要だったのかさえも定かではないのに。

   ただ、『流された』のではなく、初めて『受け入れた』、そんな感じがした。

サクラは静かに瞳を閉じる。
水面に浮かぶ月のようにゆらゆらと揺れる心を確かめようと、そっと手を伸ばした。
両手ですくい上げた水は月を映すことなく揺らめき、指の隙間からこぼれて落ちる。


・・・何度やってみても、結果は同じだった。







都様へ

リレーSS、初体験♪
・・・それにしても、無駄に長くなってしまって動きがあまり無かった気もする(汗
ごめんよぅ、みやちゃん。エ●もしょぼくて。
書くには書いてたんだけど、なんだか流れに合わなかったので、一部削除しちゃった・・・
それにしても、サスケ出番ナシのまま終わっちゃったよ。
サスケ、出してあげて〜(笑
みやちゃんの続きに期待♪