大人のオモチャ.....sleepig beauty...... 2






『お前の番だ』


外出していたガイを待っていたものは、アスマからの伝言だった。
ルーズリーフの切れっ端に簡潔な言葉が記され、クナイで玄関の戸へ縫い付けられている。
それだけでアスマの言いたいことが理解できたのは単に運が良かったとしか言いようが無い。
何故って?
・・・さっき木の葉病院で紅に逢ったから。







サスケを追って合流したものの・・時すでに遅くイタチは立ち去った後で、自来也から負傷したサスケを託された。
サスケには意識不明及び数箇所の骨折が見られ、里に戻ったその足で木の葉病院へ出向いていたガイだったが・・そこでばったりと紅に出くわしたのだ。
紅は未だ意識の戻らないカカシのことをどうしたら良いか相談に来たらしい。
医者の話によると、当然ながら入院して24時間体勢の看護を受けることが望ましいだそうだ。
しかし、如何せん現在木の葉病院は満員御礼、当分の間ベッドが空くことは期待できないと言われ・・・引き下がるしかなかったという。
ベッド以上に看護する者の手も足りないようで、逆に勧誘されちゃったわ、とさすがの紅も苦笑した。
・・・つい先日の出来事を考えれはソレも当然のことでどうしようもないのだが。

「それにしても・・・一足違いだったな。サスケは入院できたぞ?!」
「え?嘘!!」
「運良く退院者がいてな。」
「・・・・・・。」
「まぁ、サスケくんの方がカカシより重症だし。」

ガイの言葉に紅はカカシを思い起こす。
入院患者の大半のように、骨が折れているわけでも身体を切り裂かれているわけでもない・・良くも悪くもカカシの病状は『意識が無い』だけ。
とくれば・・・今まで同様、自宅療養という選択肢しかないだろう。

「じゃ、アンタも面倒見てあげてよ。親友なんでしょう?・・昨日はアスマが頑張ったらしいから。ふふ。」

そういってガイの返事も聞かず、紅はヒラヒラと手を振りながら去っていった。


   そうだな。
   こういうときこそ熱い友情を示さねばッッ!
   なぁ?カカシ・・・

入り用なものをあれこれと考えるとどうしても一度家へ戻らねばならない。
「よし!カカシの看病は任せておいてくれたまえ。私の名にかけて完璧にこなしてみせようッ!!」
誰に聞かせるとも無くガイは力いっぱい宣言し、とりあえず家路に着いた。












『看病といってもやるべきことは2つだけ。食事とシモの世話だけだ・・・』

此処へ来る前にアスマの家に寄ってきたガイはアスマにそう言われ、一体何が詰まっているのか・・・ぱんぱんの紙袋を片手にカカシの部屋へ訪れた。

「まず最初にやることは・・と。シモの世話だったな。」
ガイは声に出して呟きながら真っすぐベッドへと近づき、布団をはぐろうと手を伸ばす。
ホコリっぽい空気と共に掛け布団が勢いよく捲れ上がった。
誰もカカシがパジャマを着てるとは思ってなかっただろうが・・・しかし、それ以上に今の姿を想像できるとは言い難い。
それはもちろんガイも同じだった。

   忍服の黒いアンダーシャツ。まぁ・・これはいい。
   問題は何故下がパンツ一丁なのか、ということだ。
   しかも・・・

「な、・・・何だ、この気合の入ったパンツはッ?!」

最初は唖然と。
しかし、ガイは途中から食い入るようにソレを見つめはじめた。
角度を変えて横からも見る。

   ナウイ!
   ナウイ感じでムカツクぞ!!カカシ!!!

「フィット感といい・・・申し分ないではないか!何処で手に入れたんだ?」

「ぷ。」

「誰だ!!」
ガイが声のした方向・・・押入れの襖を素早く開けると、そこには蹲って笑いをかみ殺す紅の姿があった。
さっき木の葉病院で別れたはずの紅の出現にガイは心底不思議そうな顔をする。
「・・・紅。そんなところで何をしているんだ?」
紅は相変わらず押入れの上段で膝を抱え込み、肩を震わせて笑っている。
「・・く・ふふ・・ッ」
「何がそんなに可笑しい?」
「だ・・って、アンタ・・カカシのアレをかぶりつきで見てるんだもの!!まるっきりストリップに居るオヤジそのものだったわよ?」
「な!」
「あははは・・もうダメ・・」
紅はとうとう腹を抱えて笑い転げはじめた。
「紅・・いい加減笑うのをやめて、私の熱いメッセージを聞け!」
「・・・・はいはい。」
「何処で売ってるんだ、コレ?」
アスマのモノより幾分こじんまりとしたカカシのソレは、指し示めすガイの指で突付かれピクリと動いた。
「ヤダもう・・お下劣なモノ見せないで。それ穿かせたのアスマでしょう?アイツが知ってるわよ。多分ね。」
チラリと見ただけで紅はすぐさま視線を外す。
そしてカカシにパンツを穿かせるアスマの姿を想像し、紅は再び息も絶え絶えに笑い始めた。

まともに話が出来ない紅から離れ、ガイはカカシに近づく。
「とにかく、シモの世話だな。」
ガイは鮮やかな手つきで一気にパンツを引き下ろし、カカシの両足から抜き取った。
替えのパンツをガサガサと紙袋から出しながらガイが問う。
「で、この洗濯物はどうするんだ?」
指に引っ掛けてくるくると回されているパンツを一瞥し、こっちに飛ばさないでよねと釘を刺した後、少し考えてから紅が口を開いた。
「その辺に置いとけばぁ?カカシんトコのお譲ちゃんがやってくれてるみたいだから。」
「お譲ちゃん?」
「サ・ク・ラ・ちゃん♪」
「おお!麗しい師弟愛だな。ではお願いするとしよう。」
ガイは素直に壁際にあった洗濯物入れと思しき籠へ脱がしたてのまだ生暖かいパンツを放り込んだ。

昨日の下着はすでに洗って干されている。
紅は此処へ来る途中で風にはためいているオレンジ色のいかがわしいパンツを見た。
ソレよりも数段妖しげな布キレにサクラがどんな反応をするのか・・・

   明日も覗きに来なくっちゃvvv

「ホラホラ、早くしないとヤバそうよ?」
楽しみが一つ増えたことに頬を緩ませた紅が他人事のように忠告した。
掛け布団を剥がれたまま、下半身丸出しという哀れなカカシは身体が冷えてきたのだろうか・・ブルブルと身体を振るわせている。
「待っていろ、カカシ!今すぐ・・」
ベッドの下に置かれていた尿瓶を片手に、ガイはもう一方の手はカカシのアレをがっしりと鷲掴みにした。

「ダイレクトォー・・イン!!!」

「装着完了!」


   に・・握ってるぅ〜
   しかも上向き?!

「アンタ・・・それじゃ、こぼれるって!!」
尿瓶の口はカカシのソレよりも大きい。
上に向けたのでは尿瓶に溜まらず、全てカカシに戻ってきてしまう。
「そうか!私としたことがッッ」
ガイは慌てて重力に従いもとのように寝かせた。
その直後。

「ジェット噴射確認!」

充実した顔のガイとは裏腹に、紅は聞きたくも無かった音に肩をすくめる。
そして、もう用はないとばかりに身を翻した紅に・・・ガイの言葉が追いかけた。
「明日は誰が面倒を見ることになってる?」
「知らない。私は嫌よ。」
「私はリーの定期健診に付き添う予定だから無理だぞ。」
「そうねぇ・・・。」
誰に押し付けるべきかと紅はカカシの周りの人間を一人ずつ思い浮かべる。

   いるじゃない〜一人、とっておきの人が!!
   アナタしかいないわ!
   イルカせんせvvv

「そういえば!イルカ先生が是非自分もって言ってたわ。」
「イルカ先生が?」
「あら、ガイ知らなかったの?あの二人、チョット怪しい関係なのよね〜」
「!!・・・青春してるのか?」

咄嗟に口から出たデマだったが、ソレはソレで面白い。

   んふふ。明日はイルカ先生に決定ねvvv
   サクラちゃんの反応も見なくちゃだし・・・
   何時にココへ来ようかしら?

「あ、そうそう。忘れてたわ。コレを渡す為に此処へ寄ったんだった。」
そう言いながら何処へ隠していたのか・・紅は点滴のパックを2つガイへ放って寄越した。
「点滴か・・・」
「カカシの食事よ。病院で預かってきたの。じゃ、ホントに後は宜しくvvv」
点滴のパックの表示成分に目を走らせているガイを置き去りにスタスタとドアへと向かう。
そして、闇のような漆黒の長い髪を揺らせながら紅は部屋から出ていった。












『特別青春漢方丸』とすり鉢。
ペットボトルの水までも紙袋から取り出すと、特別青春漢方丸に加えて磨り潰し始めた。
ドロドロの液状になるまで何度も水を加える。
「点滴などする必要は無いぞ。この特別青春漢方丸さえあればいつだってビンビンだ!!」
出来上がったものをカカシが自分で服用できるはずも無く、自らが口に含む。
ガイは鼻を摘まみカカシの口を開けさせるとそっと顔を近づけて流し込んだ。

   人生とは時に厳しいものだな・・・・カカシ。
   まさか永遠のライバルに接吻しなければならないとは!!
   いや、永遠のライバルだからこそなのか?
   ナルトくんとサスケくんもしたらしいからな・・・







次の尿瓶タイムまでの空き時間、それまでの間にガイにはやっておきたいことがあった。
何かの為にと取っておいたかまぼこ板・・これもまた紙袋から取り出して、人差し指の一突きで穴を開ける。
そこに紐を通し、首にかけられる長さで輪を作ると解けないように固く結んだ。
マジックを取り出すとその片面に文字を連ねる。

「よし出来た。完璧だな。」

もちろん、そのかまぼこ板は数時間後にはイルカの首にかけられていることになる。
書かれた文字は・・・。



『カカシ世話当番』

















あとがき・・かな?


スミマセン、スミマセン・・(土下座)
思いっきりギャグに走ろうと頑張ったのですが・・イマイチでしたね。
海より深く反省しますー!

れおさん・・かまぼこ板を首に下げた哀れなイルカ先生を宜しくお願いします〜
ええ、『もそもそ』ですよ?!


まゆ