誘惑 2




愛した分、愛されたいの。
それはそんなに我侭なことですか?








サクラは小さな両手鍋を持ってカカシの家の前に居た。
まだ熱を失っていない鍋からはふわりといい匂いが漂っている。
苦労して呼び鈴を押すと、待たされることなくそのドアは開いた。

「なんだ、サクラか。どうした?」
「へへへ。来ちゃった」

気配で私だってわかっててドアを開けてるくせに、先生は決まってそう言う。
サクラはただ笑って見せて・・・カカシが自分を招き入れるため玄関のドアを押し開けるのを待った。

「ドーゾ?」
「お邪魔します」

カカシは自分の腕を掻い潜る様にして部屋へ上がりこんだサクラの後ろ姿を眺める。
華奢な背中だ。
既婚であることを意識させないミニスカートから伸びる、すらりとした脚。
それを内側のラインに沿ってやんわり撫で上げる・・・想像するだけでもイッてしまいそうだ。

半ば強引に抱いたあの夜以来、サクラはサスケが任務で家を明けると決まって此処へ来るようになった。
強制した覚えは無い。
そもそも二度目の逢瀬は・・・サクラの方からだったし。

「ご飯、まだよね?」
「・・・あぁ」

まるで自分の家のように先にリビングに向かうサクラに続いて、カカシはゆっくりと歩いた。
獲物を追う、狩人のような足取りで。





「こんなことしてて大丈夫なの?」

ガスレンジの上に鍋を置くサクラの背中を見つめながら問いかける。
道徳とか倫理とか・・・そんなことを気にしている訳じゃなかった。
そもそも、そんな高尚な思想はオレの中に存在しない。
本当に素朴な疑問からだ。

「・・・先生がそんなこと言うなんて思わなかったわ」

大きな瞳をぱちくりさせて、サクラは心外だと笑った。
それはそうかもしれないが・・・。
カカシはサクラが何を考えているかさっぱり解らず肩を竦めた。

きっかけを作ったのは自分だとはいえ、こうも無条件に懐かれ身体を差し出されれば、いくらカカシでも落ち着かない。
どんな馬鹿げたことだっていい、理由というものが欲しくなる。

一度なら絶対にバレない自信があった。
だから抱いた。
しかし秘密の逢瀬はすでに両手を超えようとしている。
感の良いサスケならいずれそう遠くないうちに気付くはずだ。
いや、もう気付いているかもしれない。
それはサクラも困るだろうに・・・

「オレに会いに来る理由が知りたいなって、ちょっと思っただけだよ」
「・・・理由?そうねぇ・・・」

顎に手を当てて考える素振りをするサクラは事の重大さがまるで解ってないように見えた。

「先生とのセックスはドキドキするの。もちろん、サスケくんとスルのはとっても気持ちいいけどそれとはちょっと違う感じが・・・」
「癖になるって?・・・それが理由?」
「ダメかな?」
「いいよ、悪くない答えだ。・・・おいで、サクラ」
「・・・ご飯が・・」
「オレはこっちを先に食べたい」

カカシは細い手首を掴み、唇を押し付けて引き寄せる。
抵抗らしい抵抗は感じられなかった。
やんわりとしなだれてくるサクラの顎に手を添えて上を向かせると、その艶やかな唇を指でなぞる。
料理皿を並べる前のテーブルは大きさといい高さといい・・・サクラを乗せるのに都合が良かった。
力でねじ伏せ押し倒し、スカートを捲る。
そのカカシの性急さにサクラは眉を顰めた。

「どうしたの?いつもみたいにしシテくれなきゃ、嫌よ」

テーブルに手を突き、カカシを押しのけて上体を起こす。

「膝まづいて」

カカシはサクラに言われるがまま膝を付いた。
目の前をゆらゆらと揺れる白い足。
親指から甲にかけての美しいラインとその締まった足首はカカシの理想そのもの。

「先生ってホント足が好きよね」

カカシの視線を感じでくすくすと笑う。
あどけない笑みを浮かべながらサクラが命令を下した。

「舐めて・・・」





一体オレは何をしているんだろう?

狂ったように腰を振る。
じわりじわりと脳髄を満たす快楽は、カカシに突き上げられて鳴くサクラの甘い声によって最大限にまで増幅され・・・弾けた。

初めはただの興味本位だったはず。
それが今では五代目が管理しているサスケの任務スケジュール表をこっそり覗き見てはサクラに逢える日を指折り数えているのだ、このオレが。
まるで初めて恋に落ちた少年のようじゃないか。
馬鹿馬鹿しいと思う。
しかし、この曖昧な関係にのめり込んでいるのは、サクラのように見えて実は自分の方なのだと、カカシはこの時やっと認めた。





「いっぱいにしてよ、先生・・・」

サクラは欲望を出し切って離れようとしたカカシの背中に手を回し身体を密着させた。

「もっと・・もっと・・・!」

サクラが自分に腰を擦り付けるたび、クチュリと粘着質な水音が静かな部屋に響いた。
視覚から、聴覚から・・・サクラはまるで色事専門のくの一のようにカカシの興奮を掻き立てていく。
次第に硬さを取り戻し始めたモノをそのままに、カカシはゆっくりとサクラを抱き上げた。
寝室の、ベッドまでの数メートル。
歩く振動で擦れ合う互いの秘部がじんわりと熱を持つ。

「サクラが満足するまで何度でも・・・」

抱いてあげるとカカシはサクラの耳元に囁きかけた。





私はサスケくんを愛してる。
もちろん、サスケくんも私のこと愛してくれてるよ。
でもね?
私の方がすごくすごく愛しちゃってるから、全然均等じゃないの。
バランスがとれてないの。
愛が足りないの。

だから、足りない分は先生に貰うの・・・





先生とのセックスはドキドキする。

それはきっと・・・先生が私のことを愛しているから。









思ったんだけどね、表でも良かった気がする・・・置く場所。(爆)
思ったよりエロくならなかったもんよー
次はサスケ出します。

2006.07.02
まゆ



     3