天然微熱少女 「おい、見えねえって・・・」 「手ぇどけろ。」 「・・・」 「ちょ・・押すなよ!」 「・・スゲェ・・・」 だだっ広い公園の一角に集まる下忍達。 今日の任務は3班合同での公園の清掃だ。 雨上がりの蒸し暑いなか、草抜きを中心とした作業が行われていたが今はちょうどお昼休み。 相変わらず何を考えているのかわからないシノと、おやつを食べるのに夢中なチョウジを除いて・・・・6人の男のうち4人が円陣をを組むように屈み込んでいた。 円陣の中心には雑誌が一冊。 『月刊・イチャイチャパラダイス・・・・グラビアクイーン特集』 「つぎ、めくれよ!ナルト・・」 「わかったってば!」 「チョット待てって、肝心なところが・・・・」 「肝心なところが、どうしたって?」 突然出来た影と真後ろから聞こえる女の声に、ビクリと肩を竦めたシカマルがゆっくりと振り返る。 腕組みして仁王立ちで立っているのは・・・世話焼きでしっかり者の金髪美人。 自分の、恋人。 「いの・・・!」 わたわたと慌てる男どもを覗き込むように、いのの後ろからサクラも顔を出した。 「何、見てん・・わっ!!!!」 サクラの驚きの声に、急いで隠そうとしたソレは両側からナルトとキバに引っぱられ、無残にもビリビリと真ん中で裂ける。 ナルトの手には・・・両手で豊満なバストを持ち上げて微笑む女性が。 キバの手には・・・四つん這いになった女性が後姿でお尻を高く上げていた・・・。 「あんた達〜!!」 あはは、と乾いた笑いを浮かべる二人にサクラが拳を握り締め、問答無用でゲンコツを入れると二人の手から雑誌を取り上げる。 「んで、コレ誰のよ?」 「こっち向いて言うなよ・・・いの。」 「アンタのでしょ?!」 詰め寄るいのにシカマルは早くも両手を挙げ降参のポーズをとった。 「ち、違うって。拾ったんだよ・・・ソコの草むらで。」 胸倉を掴まれた状態のシカマルが、立てた親指で背後の『草抜き』がされていない場所を指差す。 「ふぅん?」 少しイタズラで小悪魔的な笑顔のいのはシカマルの顔に自分のソレを近づけた。 くるくるとよく表情を変える恋人の、シカマルが最も好きな笑顔。 誘われているようで、かなり魅力的だ。今みたいな状況でなければ・・・・ 「じゃ、ゴミなのね?私達が捨てといてあげるわ!」 「えぇ?!」 「文句あんの?」 「イエ・・・・ないです。」 「シカマル・・・弱ぇ・・・。」 呟くナルトにシカマルが振り返る。 「バカ言うなって。あいつ怒るとめちゃくちゃ怖いんだぞ?!」 「・・・聞こえてるわよ、シカマル?」 「ごめんなさーい!」 トーンの落ちたいのの声に謝るが早いか、ナルトとシカマルはあっという間に脱兎の如く走り去り、気が付けば二人の前からは誰もいなくなっていた。 要領がいいことこの上ない。 はー・・・と溜息を付き、いのは相棒に視線を移す。 「サクラ?」 両手に残る破れた雑誌に目を落としたまま固まっている桃色の髪の少女。 相変わらずねぇ・・・。 「男はみんなそんなものよ?」 「・・・サスケくんも、見てた・・・」 「見るでしょ?男だもん。幻想は捨てなって。それともまだ赤ちゃんは『コウノトリ』が運んでくるなんて思ってる?」 「そんなこと!!・・・わかってるよ、でも。」 「でも、じゃない!サクラ、もうすぐ本格的な『くノ一』の修行も始まるんだよ。」 「・・・うん。」 目の前で自信なさそうに相槌をうつサクラに、いのはさっきと意味が違う大きな溜息を吐いた。 勉強は出来るのに、男と女のことになるとまるっきりダメなんだから・・・ どうにか、しないとね。 サクラから受け取った雑誌を丸めながら、いのはあれこれと考えを巡らした。 一人っ子だから、特になのかなぁ・・・? うちの兄貴なんて私の前で平気にH雑誌とか見てるし・・・ 自然とそういう知識も入るんだよね。 ・・・・・・・ ・・・そっか、サクラにも見せればいいんだ! そうすれば徐々慣れてくるハズ。 「サクラ、今日うちに寄りなよ。いいモノ貸してあげるわ。」 そうよ、それがいいかも。 「え?・・・いいモノ?」 「とにかく、さっさとこの草抜き終わらせよう。」 「・・・うん。」 もうすぐ1時。お昼の休憩も終わる。 一人納得したいのは、サクラの背中を押して作業を中断した持ち場へと急いだ。 「いのの家も久しぶり・・・」 下忍になった今、いのの家にも昔ほど頻繁にはこれなくなった。 任務をこなすようになってからはいのとも滅多に休みも合わないし。 でも・・・ 相変わらず『かわいい』部屋ねぇ。 サクラがくるりと部屋全体を見渡していると、バタンとドアが開けられ、トレイに載せたジュースを持っていのが部屋へ入ってきた。 いのの手から水滴のつくグラスを受け取り、オレンジジュースをコクンと一口飲んでからサクラはいのと視線をからませた。 「いいモノって、何?」 「ふふふ。」 含み笑いをするいのはサクラの後ろの壁を指した。 「あっちの部屋にあるの。」 隣の部屋?!・・・あっちって、確か、いののお兄さんの部屋のハズ。 「だめだよ、いの。勝手に入ったら・・・」 「ダイジョウブ。兄貴、今任務で里を離れてんの。暫く帰ってこないから・・・」 ズカズカと兄の部屋に入り、手招きしてサクラを呼ぶ。 「早く来なって。」 諦め顔のサクラが部屋に入り、後ろ手でドアを閉めた。 いのは何かを探しているようだ。 床に這いつくばってベットの下へと手を伸ばしている。 「・・・あった♪」 ゴソゴソと引っ張り出された浅いダンボールの中身は・・・ぎっちり収められたビデオテープと雑誌が少々。 サクラは興味心身に目に入るタイトルを片っ端から読み上げる。 『ガ・マ・ンできないv』 『恋愛処女』 『イタズラなゆび』 ・・・ ・・・・・・・・・・。 まさか・・・ね。 一応、聞いてみるけど・・・ 「・・・何のビデオ?」 「アダルト。」 恐る恐る訊ねるサクラにいのはあっさりと答えた。 「あれ?どこいったんだろ?」 しかも、サクラの顔も見ずにいのは忙しく手を動かせてダンボールの中身をかき回す。 「・・・あ、コレよコレ!」 『ナースのお仕事..深夜のナースコール..』 「・・・。」 「はい、サクラ。」 「え?」 強引に手渡される一本のビデオテープにサクラは慌てて首を振った。 「ちょっと!いいって、そんなの。」 「多少勉強しなよ。コレ、そんなに激しくないからさ。レクチャーものだし、サクラにも見やすいと思うよ。」 引かないいのにサクラも押し黙る。 暫く俯いて手に乗っかったビデオテープを眺めていたが、沈黙の後ポツリと訊ねた。 「いの、シカマルとシタ?」 「うん。・・・まあ、自然な成り行きっしょ!」 さすがのいのも顔を赤らめたが、きっぱりと肯定した。 「そー・・なんだ。」 自分が人よりおくれてると気付いたのはアカデミーに入学してからだ。 最近ではアカデミーの生徒で『経験済み』な子も少なくないらしい・・・ 確かに不安ではあるのよね。そーゆー知識がないっていうのは・・・ でも、どうしていいかわかんないし。 恥ずかしくて人には聞けないし。 「・・・わかった。借りるね、コレ。」 サクラの返事にいのも満足げに頷いた。 「さて、と。サクラ、うちでご飯食べていく?」 「うん!と言いたいトコだけど、やめとく。今日も来るんでしょ?シカマル。」 「まぁね。」 「じゃ、私これで帰るよ。」 すくっと立ち上がったサクラはいのが用意してくれた小さなトートバッグにビデオを入れると別れの言葉を告げる。 「じゃ、またね。」 「うん、また。」 振り返って手を振るサクラに、家のブロック塀に背を預けたまま片手を上げたいのはくすくすと笑った。 「ホントに・・・世話が焼けるんだから。まっ、そこが可愛いトコでもあるんだけどね。」 お風呂あがり。 サクラは濡れた髪をタオルで拭きながら、ぽすっとベッドへ座り込んだ。 視線の先にはバッグに入ったままになっているビデオ。 どう・・しよう・・・。 勢い余って借りてしまったが、どうしたものかと真剣に悩んでいた。 元来、読書が好きなサクラのこと。部屋にはテレビもビデオも置いていない。 借りたビデオを見るためには下のリビングへ行くしかなかった。 でもまだ両親ともに起きていて・・・お父さんはプロ野球ニースを見ているし、寝るのは当分先だろうと思う。 例え眠っていたとしても、何時起きてくるかわからないのにコソコソと見るのはサクラの性に合わない。 それに・・・とてもではないが、一人で見る勇気が・・・ 一目を気にせず見るとなると・・・一人暮らしの子だよね、やっぱり。 ・・・誰がいたっけ? う〜ん、・・・ナルトでしょ、サスケくんでしょ・・・ それから、えっとシノくん?・・・は、話したことないからなぁ。 っていうか、みんな、一緒に見てくれるとは思えないし。 ホント、どうしよう・・・ あ!! いるじゃん、一人暮らし。 しかも、一緒に見てくれそうな人!! ・・・カカシ先生。 大人だけど・・・先生だし。 くノ一の勉強だとかなんとか言えば・・・怒ったり、しないよね? 一緒に見てくれるよね? うん!きっと大丈夫。 そうと決まれば善は急げよ! サクラは着ていたパジャマを脱ぎ捨て、クローゼットを開けると素早くワンピースを頭から被った。 忍服に着替えるより随分と早い。 足元に積み重ねられている箱の一つを開け、中からミュールを取り出すとバッグを腕に引っ掛けて窓へと近寄る。 静かに窓を開けて自分が通れるくらいのスペースを確保すると、サクラはそこから地面へとひらり身を躍らせた。 なり茶用の前振りSSです。 次回のなり茶はこの続きを・・・・お願いしますよ、みやちゃん&こむちゃん。 私書記で。(笑 や・・・たのしみだねぇ(ニヤリ 2002.06.02 まゆ |
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