love me tender 2 サクラは一人残された浴室で、嵐のように過ぎ去った今しがたの出来事にぽろりと涙を零した。 一滴だったそれはとめどなく溢れて嗚咽に変わる。 もちろんセックス自体が初めてだったわけではなく、そんなことで泣いたりしない。 問題はカカシの言った『性欲処理』という言葉だった。 先生にとって私はナルトやサスケくんほど有能な部下ではなかったが、それでも先生の周りにいる女性の中では特別な存在だと自負していたのに・・・性欲処理などと言われればそれすら否定されてしまったようで、サクラは思わず両手で自分自身を抱きしめた。 先に上がった先生と話しているのだろう、遠くにナルトの笑い声が聞こえる。 自分も早く行かなければ不審に思われる。 そろそろサスケも来る頃だ。 湯とは別の熱でのぼせた身体で立ち上がれば、内腿にどろりとしたモノが伝う。 それがカカシの体液だと気が付いて・・・なお一層惨めな気持ちになった。 湯船に浮かんだスパッツと下着、そして底から指輪を拾い上げるとサクラは逃げるように浴室を後にした。 「サクラちゃん、遅いってばよ!」 「・・ごめんね。私も軽くお湯につかってきちゃった」 ぎこちない笑顔でサクラが部屋に現れた。 薄いフリースの上下に、湿った髪は一つに束ね上げている。 「えー?!じゃ、さ。オレもお風呂入っていい?サスケが来るまでには出てくるし」 「駄目!駄目よ、そんなのっ!!」 さっきまで先生と二人でいた場所。 淫らな情事の跡がまだ色濃く残っているようで・・・そんな所にナルトを行かせるなんてとんでもない。 サクラが焦って断れば、ナルトは拗ねたように唇を尖らせた。 「ちぇっ、ケチ!オレだって任務から直帰なのに」 「ま!いいじゃないの。サスケと二人、クサイ仲ってね。ちなみにオレとサクラはイイ仲だぞ。な?サクラ」 「・・そ、そう・・かな」 ちらりと目配せをするようにカカシがこっちを見た。 イイ仲だなんて、今のサクラには笑えない冗談だ。 あんなことをしておいて憎らしいほどの冷静な態度に思わず視線を振り払うと、サクラはそのまま背を向けてキッチン奥の冷蔵庫へ向かった。 「サスケくん、もうすぐ来るとは思うけど・・・先に始めちゃう?ナルト、料理取りに来て」 「了解」 努めて明るく話しかける。 ラップのかかった、いくつかの皿とビールを冷蔵庫から取り出して、傍に来たナルトに渡した。 ナルトは器用にそれらを同時に持つとカカシの待つローテーブルの上に並べながら愚痴を零す。 「それにしてもアイツってば何やってんだよ」 「しょうがないでしょう?任務なんだから」 サクラがカカシからなるべく離れた正面の席に座り、運んできたグラスにビールを注ぎ始めた時、インターフォンが鳴った。 「やっと来たってばよ!オレ、行ってくる」 部屋の主よりも先にナルトが玄関へ向かったため、サクラはその場から動けなくなる。 ナルトの去った廊下を見つめるサクラにカカシはゆっくりと手を伸ばした。 くいっとハイネックの首元を引っ張れば、そこには自分が付けたばかりの鮮やかな赤が無数に散りばめられている。 「それでも隠してるつもり?」 「・・や、やめて」 サクラが身を引けば、逆にカカシが身を乗り出して・・・今度はサクラの顎を掴む。 人差し指で唇をなぞり口腔内に差し込むとサクラは反射的にその指をちゅっと吸い上げた。 「サクラ、やらしいね」 即座に真っ赤になるサクラを眺めながら、カカシはサクラの唾液で濡れた指を見せ付けるように舐めた。 それが、ナルトとサスケがあわられる数秒間の間に起こった出来事。 「・・・よう」 暗い影が差し、同時に降ってきたサスケの第一声にカカシが眉を顰める。 「オイオイ、他の二人はもっと歓迎してくれたんだがな」 飛び込んで来いといわんばかりに両手を広げてみるも、サスケはフンと鼻を一つ鳴らしただけだ。 お帰りなどという言葉はもちろん期待してはいなかったが、相変わらず可愛くない。今も、昔も。 「意外に似合うじゃないか、それ」 サクラが用意してくれていた着替え・・・鶯茶の浴衣を差してサスケが口を開いた。 「・・・お前のか?」 「違う。オレのは別にある」 「あっそ」 「それはサクラがお前の為に作ったものだ」 念を押すような口ぶりに、だから何なのだと思う。 サスケがサクラ手製の浴衣を持っているのは当然だとしても、今着ているこれがオレのものであればきっとナルトも貰っているはず。 別に特別って訳じゃない。 そんなことより・・・。 「サクラとはどうなってる?」 「・・・気になるのか?」 「サスケくん!」 馬鹿にしたような笑みを浮かべて逆に聞き返したサスケの忍服の裾を、サクラが慌てて引っ張る。 サスケはその頭を安心させるようにぽんぽんと二度優しく触れて、背後にいるナルトに振り返った。 「そろそろ行くぞ」 「あぁ」 ナルトがしょうがないとばかりに肩を竦めて返事をする。 サクラは慌てて立ち上がった。 「え?!何処行くの二人とも」 「急な任務だ。悪いがナルトも借りていく。すまない、サクラ・・・穴埋めはするから」 「・・・そう。わかった。気にしないで」 「急病人の代わりだってさ。ついてないよね、全く」 「そんなこと言わないの!・・・二人とも気をつけてね」 サクラの様子からしてこういうことはよくあるようだ。 無理して笑うサクラを見て、カカシはふつふつと怒りがこみ上げてくるのを感じた。 自分なら絶対にあんな顔、させたりはしないのに。 「サスケ、お前さぁ・・・鳶に油揚げをさらわれるって諺、知ってる?」 カカシの不意な問いかけに、玄関へ向う背中が振り返った。 「・・・鳶になりたいのか?」 「さぁね。一応忠告したまでだよ」 その割には随分と物騒なツラじゃないかとサスケは心の中で毒づく。 「・・・鈴取りがしたい。四年ぶりだからな。オレらの実力も見たいだろ?」 サスケの挑戦的な態度にカカシの瞳がすっと細くなった。 念願の兄を討ち、大蛇丸から開放されて、サクラを得て。 抜け忍扱いも同然だった里へ出戻っただけじゃなく要職についているんだろ? 他に何が欲しい? 『はたけカカシ』を超えたというステータスか? 「OK。いつでもいいよ」 サスケは暫くオレを見詰めていたが・・・結局、無言のまま再び玄関へ向かった。 その背中を追ってサクラも部屋から出て行く。 ナルトは既にサンダルを履き終えたのだろう、ドアを半分背で押し開けてサスケを待っているのがサクラの肩越しに見えた。 自信過剰もいいところだとカカシは思う。 それともまだ教師としてのオレを信頼しているのか・・・どちらにしてもサスケは選択を誤ったのだ。 今、この状況でオレとサクラを二人きりにするなんて! カカシの視線の先ではサスケがサクラを引き寄せ、薄紅の髪を梳き・・・何か囁いている。 離れ際、サクラは背伸びしてその頬にキスをした。 パタンと玄関のドアが閉まる音を聞きながら・・・カカシはそんな二人の間に割って入る決心を固めた。 サスケが出て行った後、サクラはかかしの待つ部屋へ向き直った。 『脈ありだな。頑張れ、サクラ』 サスケの言葉が胸にこだまする。 『何のためにオレを振ったんだ?』 ごめんと謝れば額をコツンとこづかれ・・謝罪よりも感謝を、と笑われた。 付き合っていた頃はすれ違ってばかりだった互いの気持ち。 別れた後のほうが寄り添えるなんて切な過ぎる。 サクラはすぅっと大きく息を吸い込んだ。 本当に頑張らなくてはいけない。 サスケの為にも。 もちろん、自分の為にも。 「オレ、一応ゲストだよねぇ?」 予告もなく目の前に現れたカカシに、サクラが思わず後ずさった。 そんな彼女をカカシはひょいと横抱きに抱え上げ、カカシの歩幅で四、五歩の廊下を抜けて料理の乗ったローテーブルの脇を抜け、窓際の小さなベッドの上に下ろした。 「ご、ごめんなさい。結局二人になっちゃった」 口ごもりながら慌てて自分から離れようとするサクラを圧し掛かってその場に留める。 逃がすつもりはなかった。 「いいよ、二人で」 むしろ二人がいい。 カカシの身体にはまだ風呂場での熱がくすぶっている。 たった一度きりの行為では満足できるはずもなく・・・おまけにサスケのあの態度。 どこか自分を煽っているようで・・・。 「・・やだ!」 カカシの手が胸のふくらみに触れると、サクラは身を捩った。 「嫌だと言ってもコレじゃ・・・説得力ないデショ」 服の上からでもわかる硬くなった先端を指で擦ればサクラの瞳に羞恥の涙が浮かぶ。 カカシはじれったい思いで服を一気にたくし上げた。 中途半端に脱がされたそれはちょうどサクラの頭の上で両手を拘束し、カカシに無防備な身体を晒す。 引き千切るようにブラを外し、カカシはサクラの瞳を覗き込んだ。 「サスケに見せられない身体にしてあげる」 一度目の行為で十分それは適っていたが・・・カカシは更なる華を咲かせるために首筋に唇を押し付け、舌を這わせた。 「だ・・駄目・・・・せんせ・・ぇ・・あッ!あぁ・・・」 下半身に伸ばした手で中心を撫で上げれば、サクラはそれだけで過剰ともいえる反応を示す。 弓なりに反った身体の下に腕を差し込んで抱き起こし、ズボンと下着、そして絡まったままの上着を取り去った。 生まれたままの姿にされたサクラはカカシの前で小動物のように震えている。 「サスケに助けを求めてみるか?」 カカシが意地悪く訊ねた。 唇を噛みしめたサクラが首を横に振る。 「へぇ?じゃ、このままオレに抱かれるしかないケド?」 「せんせい・・・話を・・聞い、て・・・んッ・・ハァ・・ん」 逞しい腕の中にすっぽり収まっているサクラは逃げようがない。 カカシの指はたった一度のセックスでサクラの身体の全てを知り尽くしたかのように蠢き・・・サクラに快感を与えた。 「あ・・いぃ・・・・」 「イイんだ?ここが?」 乾いた笑いが込み上げてくる。 四年も我慢していた自分が馬鹿みたいだ。 カカシは溢れ出る蜜を花芯に擦り込むたび爪先までぴんと反らせて感じているサクラを愛しそうに抱きしめた。 「駄目・・・大事な話が・・ぁはんッッ」 ゆっくりと、自分自身をサクラにあてがい沈めていく。 風呂場でも思ったが・・・すんなり受け入れられるものの、サクラの中は酷く狭く、きゅうきゅうと締め付けてくる。 まるで処女としているような感覚に思わず身を振るわせた。 カカシの知る中でもサクラは最高の器だった。 「んふぅ・・・はぁ・・話を・・・ぁ・・こんな、の・・やだ・・・・」 「ごちゃごちゃと煩いよ、サクラ。オレが聞きたいのは甘い鳴き声だけだ」 はだけた浴衣を脱ぎ捨てて素肌を密着させれば、上気した体温を感じられて興奮する。 サクラに圧し掛かったまま激しく腰を動かす律動に、ベッドのスプリングがギシギシと悲鳴を上げた。 「・・せんせ・・ぇ・・・・やっ・・あぁ、あッ・・あ・・・」 サクラの嬌声に煽られながら、カカシは信じたことなどない神に誓う。 もう逃げたりしない。 四年前・・・サクラの幸せを望み、里を出た。 しかし、結局それは自分に意気地がなかっただけのこと。 「愛し、てる・・よ・・・サクラ」 カカシの一言に瞳を見開いたサクラに気付かず、カカシは腰の動きを早めた。 色々と入れたい場面が入りきらなかったので・・・続きます・・←詐欺だ・・ サクラの気持ちとかサスケとかね。 2007.02.27 まゆ |
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