innocent love 1




「アヤノさんとの関係も今日限りつーことで」

ベッドから這い出しながらカカシはあっけらかんと言い放つ。

「新しい娘が出来たんだ?」
「そう!」
「ふふふ。何回目の今日限りかしら?アンタのことだからまたすぐに逢いに来るわよ」
「悪いけど、今回はオレ本気なんですー」

恥も外聞もなくアタックしてやっと振り向かせた女、サクラを思い出してカカシは笑みを零す。
ライバルが十二歳の部下だったというのは公言したくない事実なのだが…そんなことはもう関係ない。
なにせ自分が勝ったのだから。

さらばヤ○チン人生!
オレは今日からサクラとの清い愛に生きるのだッッ










「で、もう打ったのか?」
「まぁーだ」
「…マジかよ?お前にしちゃーギネスもんだ」
「だろ?」
「かなり限界来てるんじゃないのか?」
「いやいやいやー。オレはサクラの笑顔さえあればシアワセなんだよね」

…マジかよ?

この男の豹変振りに一番驚いているのはアスマかも知れない。
ホントに変われば変わるもんだなぁとしみじみ眺めていた隣の男が急に大声を出す。

「んなわけ、ねーだろッ!!…ヤリてぇ…もう限界」
「………」

…やっぱり。
人間、そうそう変われないよなぁ…

アスマが空を仰ぎタバコの煙を吐き出した時、カカシの待ち人が現れた。

「何がやりたいの、先生?」
「なんでもないよ」
「ふぅん?…で、こんな所で二人とも何してるの?」

自分はアカデミーの図書室に用があったのだが…この上忍達は何をしているのだろう?
アスマとカカシが居るのはアカデミーの門の脇。
しかもヤンキーのように座り込んでて…顔見知りでなければ声を掛けるもの躊躇うだろうという見るからに怪しげな二人組みだ。

「サクラを待ってたんだ」
「コイツは先にイカないのが自慢ってな」
「?」

意味がわからず首を傾げているサクラを見て、アスマはニヤニヤと笑った。

「ヘンな冗談言ってないでさっさと消えろよ、ヒゲ!」
「先生、アスマ先生になんてこと言うのよッ!」
「…ごめんなさい」

カカシの様子を見て叱られた犬のようだなと思いつつ、アスマは腰を上げた。
からかうのもこの辺にしておかないと後がヤバイ。

「じゃーな」
「さっさと帰りやがれ!」

背中を追いかけてきたカカシの声の後に痛そうなゲンコツの音が聞こえる。
サクラがカカシを殴ったのだろう。
アスマは肩を竦めて二人に聞こえないように笑った。

「馬鹿なヤツだ!」










「あんみつでも食べに行こうと思ってね、サクラを待ってたんだ」
「本当?!やったー!!」

アスマが去った後、やっと本題を切り出せたカカシにサクラは飛び上がって喜ぶ。

「あ、でも…先に家に寄っていいかな?」
「なんで?」
「汗、掻いてるもの。先にシャワーを浴びたいわ」

そうすれば着替えもできるし。
折角のデートなんだもの。
汗臭い忍服のままだなんて…そんなの、嫌よ。

オレはそんなの気にしない…と言いかけて口を噤む。
カカシはあらぬ方向を見てニヤリと笑った。

くくく。
これはチャンスだぞッ!
付き合って二ヶ月。
そろそろいーんじゃないかと…

「サクラの家って此処から遠いデショ。シャワーなら他にも浴びれる場所があるけど?」
「え?ドコ?」

「…オレん家」





強引に抱え上げられ、気が付いたときにはもう…そこはカカシの家の前だった。
引きずり込まれるようにして部屋へ入った後、何故か率先して服を脱ぎ始めたカカシにサクラは慌てた。

「何してんのッッ!」
「ナニって…」

いや、コレがどういう状況かわかってるケド。
わかってるけど駄目ー!!
こんな急に…心の準備が…

「やっぱり…帰る」
「な、なんでッッ?!」

ここまで来てそれはないデショ?
オレ、もう…半勃ち……

ズボンに手をかけたカカシが情けない顔でサクラを振り返った。
その姿に赤面したサクラは俯いて呟く。

「だって。先生、初めてじゃ、ないよね?」
「へ?」

当たり前デショ!
この年で童貞なんて病気だよ。

「そりゃ…違うケド」
「やっぱり帰るッッ!」

なんでそうなるの?!
童貞じゃないと駄目なのか?!

くるりと背を向けたサクラの腕をかろうじて捕まえたカカシが必死になって問いかける。

「わけわかんないよ、サクラ。」
「だって!
「だって、ナニ?」
「だって私、処女なんだもんッッ!!」
「……うん」

何、言ってんだか…この子は。

反応の薄いカカシにサクラが大声で繰り返す。

「だーかーらー、私、処女なの!」
「うん」

処女じゃない方がびっくりだぞ?

「…嫌いにならないの?」
「何でさ?」
「前に雑誌で処女は面倒くさいから嫌われれるって読んだことある」
「…くだらねー」

…ホント、くだらない。

「あのね、サクラ」

一呼吸置いてカカシが優しく告げる。

「オレはサクラが好き。サクラにしか興味ない。だからサクラしか抱きたくない。サクラは?」
「先生…」
「オレはサクラが処女で嬉しいよ。だってオレの色に染められるからね」
「先生!!」
「もうくだらない雑誌ばっかり読まないの。わかったら…ホラ、こっちにおいで」
「うん!」

ポンポンとベッドの端を叩くカカシの元へサクラは子犬のように駆け寄ってきた。
カカシはサクラに逃げられないよう抱え込むと、その体重で優しくベッドへ押し倒す。
そして心の中で手を合わせて呟いた。



可愛くて素直で処女なサクラ

イタダキマス!










元ネタは『激安愛』…爆
所要時間2時間といういい加減なSSだ!
続きを読みたい人は名乗りをあげてくれ(←いねぇよ、そんな奴)

2004.05.03
まゆ


2009.06.14 改訂
まゆ