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「ホントお前ら何やってたんだよ」

呆れ顔の修二が手にした彰のスケッチブックでぽすっと二人の頭を軽く叩いた。
授業中にデッサンを仕上げられなかったのは彰と野ブタの二人だけだ。
おかげで今日の放課後提出するようきつく言い渡されてしまった。
誰も残っていない、夕日の差し込む教室に、修二のわざとらしい溜息が漏れる。

「ちゃんと描いてたのー」
「…これが『ちゃんと』かよ?!」
「いぇす!」
「ていうか…コレ、木じゃねぇ?俺じゃないでしょ」
「き、桐谷くんだよ」

信子が加わったことで分が悪いと感じたのか、修二が開きかけた口を閉じた。
彰の描いた『俺』に視線を落とす。
枝に並んでとまっている鳥は、よく見るとクラスメートの名前が付けられている。
…何なんだろう、ホントに。

「でねー、お花畑が野ブタだっちゃ!」
「あぁ…そうかよ。で?」
「…で、って?」
「俺は木なんでしょ。野ブタは花畑。それでお前は何なの?」
「……ヤバイ。野ブタ…どうしよう!俺ってば何?!」

慌てて信子に助けを求める彰は少し哀れで笑いを誘う。
修二は律儀に何か考え始めた信子に向かって声を掛けた。

「野ブタ…そんなの考えなくていいから。早いトコ絵を仕上げて帰ろうぜ。日が暮れちまうぞ?」










街灯が灯り始めた道を、信子がバイバイと手を振って小走りに駆けていく。
修二と彰は信子の姿が団地の敷地内へ吸い込まれるのを見届けてから、自転車に跨った。
最初のひと漕ぎ、ペダルをぐっと踏み込みながら…彰は別れ際の信子の言葉を頭の中で反芻する。

『く…草野くんは風、みたい。木の葉も花びらも…や、優しく揺らしてくれるから』



「修二ーぃ…」
「んー?」



「風って何色?」









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おまけです(笑)
あんまり意味は無いですが…

2006.02.13
まゆ