銀の檻





ああ・・声が掠れてきてる
そういやー、水も飲ませてなかったな。
人形じゃないんだから・・・



・・・人形だけど。












意識を失った身体を自分勝手に弄ぶ。
小さな胸をまさぐり、痕を残す・・・その繰り返し。
気絶してなお自分の愛撫に従順に反応する幼い身体を、カカシは口を歪めて笑った。
少女の閉じられたままの両の瞳から一筋の涙が零れ落ちる。

   無意識に泣いているのか・・
   哀れな自分を想って?
   神を呪って?
   どっちにしろもう駄目だろ?ね、サクラ・・・
   だって、やっと捕らえたんだ。
   オレが飽きるまでは一緒に居てもらうよ・・・
   それまでもつかなぁ・・・サクラの身体。

もうすでに自分のモノでいっぱいのサクラの中に再び欲望の塊を吐き出す。
カカシは肩で息をしながら、その粗末な、ただ広いだけのベッドに崩れ落ちるように身を沈めた。















在るべきモノの姿を求めて無意識のうちに手を伸ばす。
その範囲にサクラは居なかった。
慌てて上体を起こすと、薄闇の中、シャツを引っ掛けたサクラが窓に張り付いているのが見えた。
安堵と共に現れる醜い感情。
カカシはわずかばかり瞳を細めてサクラを眺める。

   この部屋から抜け出すための算段を組んでいるのだろうか?

しかし、ぼんやりと遠くを見る翡翠の瞳に希望のカケラは見当たらなかった。
家中に張り巡らせた、サクラを捕らえておくためだけの術。
カカシレベルの忍が何ヶ月もかけて造った檻を下忍に成りたての少女に抜け出せるはずないのだから。
それはもう・・サクラにも十分わかっているはず。

   ホラ、おいで?
   こっちに来いよ・・・

サクラに選択の余地はない。
カカシの気配に気が付いたサクラがゆっくりと振り返った。
無言で差し出された手に恐る恐る小さなそれを重ねる。
そのまま力任せに引き寄せられたサクラはカカシの胸へと崩れ落ちた。

「先生・・・痩せた?」
「サクラほどじゃないよ。」

淡々と流れる時間、麻痺していく感覚。
閉じ込められた当初は言葉を交わすことすら汚らわしいと感じていたのに。
今ではそれも過去のこと。
怒りの言葉は懇願のそれへと変化していった。

「此処から出たい。お願い・・家に帰りたいの。・・・・皆に逢いたい・・」

現実から切り離された閉鎖的な空間。
ただ身体中を舐めあげられ、突き刺され・・注がれる日々。

   はたして・・・こんなことがいつまで続くのだろう?
   どうして誰も助けに来ない?

とうに涸れたはずの涙がサクラの頬を零れ落ちる。
それが嗚咽に変わるのに時間はかからなかった。


「寝物語をしてあげよう。」

やっと口を開いたカカシは、やはりサクラの欲しい答えをくれやしない。
ただいつものように自分勝手に話し出すだけ。
「12年前の・・いや、もう13年前になるか?里を襲った妖狐のこと・・」
言葉を止め、サクラの髪を梳く。
以前より艶を失った髪に哀れみとわずかばかりの自責の念をもってカカシは瞳を伏せた。
「・・・オレは生まれたばかりのナルトのヘソに妖狐を封じ込められる様を見ていた。」
四代目のすぐ傍で。
写輪眼を発動したままのオレの目の前で全ては行われた。
「封印を解くのは簡単なことだったよ。」
「・・・え?どういう・・意味・・・」
「言葉どおりの意味さ。妖狐の封印を解除したの。契約付きでね。」
カカシは話しながらもサクラの羽織っているシャツのボタンを一つずつ丁寧に外していく。
その慣れた手つきはサクラを煩わせることなくコトを進めた。
現れた胸の尖りをキツク吸い上げる。
「んっ・・・ぁあ!」
「くくく。もっと鳴いて。善がってオレを楽しませて。」
「ぃやあッ・・ンッン・・・」
「オレはオレとサクラ以外の人間が里から居なくなる事を望んだんだ。アイツは自由と引き換えにそれを叶えてくれたよ。」
割れ目に猛ったモノを押し当てて一気に突き立てる。
「真っ先に喰われたのはナルト。次はその傍に居たサスケ。」
かつての仲間の名前を挙げるたび、サクラの中はキツク締まりカカシに快感を与えた。
「んー・・後はわかんないや。12年前と同じですごいことになっちゃったからねぇ。」
里にはまだ無数の血溜まりが残っている。
立ち込める腐臭にさすがのカカシも自分の造ったこの檻から外へ出ることは憚られた。
暫くは不都合だがこの狭い空間で過ごすしかない。
「ど・・う・して・・・」
「サクラが欲しかったからだよ。サスケもナルトも・・サクラの両親すら邪魔だった。」
「あぁ!・・イッ・」
小振りな胸を掴んだ指に力がこもる。
カカシは痣だらけのソコに唇を落とし、新たな痕を残した。
「友達面して忠告してくるアスマも紅もガイも。オレを止めようとした五代目さえも・・・とにかく、木の葉の里には邪魔な人間ばかりだった。オレはただサクラが欲しかっただけなのに!」
吐き棄てるようにそう言うと、カカシは狂ったように腰を振り始めた。

   それが本当なら木の葉の里はもう・・・
   お父さん、お母さん!!
   ナルト!!
   ・・・サスケくんッッ!












揺す振られあっけなくイカされた後、サクラはカカシの語った話の内容に気が遠くなるのを抑えて真実を確かめようとした。
「本当に・・・ふたり・・だけ、なの・・・?」
「今はね。」
カカシの答えにサクラは虚ろな瞳でカカシを見上げる。
「・・・信じ・・ないわ。」
「あ、そう。それでもいいケド・・・そのうち家族は増えるかもよ?オレ、避妊なんてしてないからねぇ。」
カカシはそう言いながら冷たい指先を、サクラの下腹部につぅっと滑らせた。
今なお内腿を伝う白濁した滴りにサクラの背筋が凍りつく。
青ざめたサクラを嘲笑うかのようにカカシが告げた。

「オレは女の子がいいなぁ。・・・サクラに似た女の子が。」















檻の中には狂気を孕んだ上忍が一人。
檻の外は屍の山。

地獄と呼べるのは、一体どちら側なのだろうか・・・?

















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2003.11.26
まゆ