Fake






「あ・・あっ・・・・・んんっっ・・・」

締め切った部屋に、甘い喘ぎ声だけが響く。
少女の未熟な身体は、すでに男の指を2本受け入れている。
指を締め付ける感覚に少女の絶頂が近いことを知ると、男は動きを止めた。

「まだダメだよ、サクラ。・・・もっと声を聞かせて。」
カカシはサクラの大きく上下している胸へと顔をうずめると、硬く尖った先端を口に含み、やさしく吸い上げた。
「やぁっ・・・・ねぇ、お・ねが・・い。・・・・・せ・・んせぇっっ、・・・もう・・・」
焦らされてひどく辛そうなサクラの表情は、カカシの欲望をそそったが・・・今はサクラをイカせることだけに集中する。
サクラの芯を、触れるか触れないかの位置で刺激すると同時に指の動きを再開した。
「んっ・・はぁっ、あ・・・・せん・・せ・ぇ・・・、ダメ・・・イっちゃうっっ」
次第に動きが早められる指について来れなくなったサクラは・・・両手を伸ばすとカカシの首にしがみついたまま、今日3度目の絶頂を迎えた。



「はー・・・・・」
意識を飛ばしてしまったサクラの髪をやさしく梳きながら、カカシは大きなため息を吐いた。
あられもない姿のまま横たわっているサクラにそっと毛布をかける。

   こんなはずじゃ、なかったのにな・・・

最初は単なる悪戯心で始めたことだった。
その『悪戯』にどっぷりハマっている自分。

残された自分の欲望を持て余し、途方に暮れる。
忍服を着たままだったカカシは面布と額あてを元に戻すと、サクラをベッドに残し、外へと抜け出した。





夜明け前・・・東の空がしろんで来る頃、サクラは目を覚した。カカシはいつものようにサクラを抱きかかえたまま眠っている。
付き合い始めた頃、この時間が一番幸せだった、ハズなのに・・・
2ヶ月経った今では、サクラの中で一番憂鬱な時間に変わってしまっていた。

   だって、気付いちゃったんだもん。
   先生が夜中に家を抜け出していることを・・・・
   タバコとアルコールの匂い。
   これだけなら、私もわからなかったと思う。
   でも。
   わずかな香水の匂いと、口の端に残るルージュの色。
   『何してるの?』、なんて聞かなくても解るくらいにはオトナのつもりよ?


   ドウシテ、ソンナコトスルノ?
   ワタシダケデハ、ダメナノ?


   昨日の夜も、抜け出したのね・・・。
カカシの服からは嗅ぎ慣れない香水の匂いがする。

   ホントに、先生は私が気付いてないと思ってるのかしら?
   それとも・・・わざとなの?

考えれば考えるほど解らなくなってくる。
   先生は、ちゃんと私のこと好きでいてくれてる?
   もう飽きちゃった?

面と向かって聞けないことを心の中で問いかけながら、サクラはカカシの腕をゆっくりとほどいた。
ベッド脇の窓の、カーテンの隙間から見える空は明るくなり始めている。
   まもなく夜が明けるわね・・・。家に帰らないと。

サクラは週のほぼ半分の夜をカカシの部屋で過ごしていた。もちろん、無断外泊で。
だから、『親が起きる前に自宅に戻る』必要がある。
腕を伸ばしベッドの下に落ちている服をかき集めて急いで着込むと、目を覚ましていないことを確認する為、カカシの顔を覗き込んだ。
スースーという規則正しい寝息に、サクラは安堵の表情を浮かべ、囁くような声で告げる。
「またあとで。」
サクラは眠っているカカシに触れるだけのキスを落とすと、そっと部屋を出て行った。


パタン、と玄関の戸が閉まる音を聞きながらカカシはゆっくりと身体を起こす。
外から戻ってきたカカシがサクラの眠るベッドに潜り込み、サクラを抱きしめていたのはほんの数分。
それなのに、そんな短い時間でさえカカシの身体は正直だった。
治まっていた熱が再び身体に火を付ける。

   何の為に、外でオンナを抱いてきたんだか・・・

締め切った、ベッドしか置いていないこの部屋に、カカシの自嘲的な低い笑い声が響いた。




   

「だぁー!!もうっっ!!!遅いってばよー!」

じっと待っていることに耐えられなくなったナルトが大声で叫ぶ。
カカシが集合時間に遅れてくるのはいつものことのように、ナルトがこうやって暴れ出すのもいつものことだった。
「オレ、先生ん家に行ってみるっ。サクラちゃん・・・待っててvv」
そう言うが早いか、ナルトはもう駆け出していて・・・あっという間にその背中が見えなくなる。
取り残されたサクラとサスケは所在なげに、横に並んでその場に突っ立っていた。

サクラがサスケに掛ける言葉を捜していると、珍しく沈黙を破ったのはサスケのほうだった。
「・・・アノ男は、やめておけ。」
「えっ?」
サクラはサスケの突然の言葉に、その意味を理解出来ず不思議そうな顔で振り向いた。
「昨晩・・・イヤ、明け方に近かったが・・・女と一緒だった。」
「・・・」

   ・・・・・あぁ、そういうコト・・・・・

フイッと顔をそむけたサクラに、サスケは言葉を続ける。
「・・・宿屋から出てきたんだ。」
早朝のトレーニング中に偶然見かけたらしい。
サスケはもう一度、忠告した。
「サクラ、アノ男はやめておけ。お前、泣かされるぞ。」
「・・・知ってる。」
「?」
「女の人のことなら・・・知って、いるの。」
サスケを再び振り向き、目が合うと寂しそうに微笑む。それは、サスケが見たことのない大人びたものだった。
「だったら、何故?!」
自分以外の女を容認しているようなサクラの言葉に、サスケが声を荒げる。
「・・・・怖いの。・・・泣きじゃくって、問い詰めて・・・嫌われるのが、怖いのよ。」
「サクラ・・・」
「私、アカデミーの頃と全然変わってない・・・臆病なまんま。傷つくのが怖くて、逃げてばかり・・・。」
大きなエメラルドの瞳を潤ませながら、それでもサクラは笑って見せた。
サスケは堪らずサクラを引き寄せ抱きしめると、その背中をポンポンと軽く叩く。
いつからか、自分を目で追わなくなった腕の中の少女。

   ・・・それでも、お前はアノ男じゃないとダメなんだな?

「・・・馬鹿だな。」
「・・・うん、馬鹿だね。」




任務も滞りなく完了し、カカシは報告書を提出する為受付にいっている。
混んでいるとかなり待ち時間があるので、サクラはいつも図書室で時間を潰す。
今日もサクラの指定席となっている窓際に陣取ると、分厚い活字ばかりのページをめくり始めた。

サクラが本を読み始めてまもなく、一人の女性がゆっくりとした足取りで近づいてきた。
あえて無視をしていたサクラに、テーブルをコンコンとノックすると声を掛ける。
「あなたが、サクラちゃん?」

   ・・・・・
   この、香水の匂い・・・昨日のヒトだ。

「・・・何か用ですか?」
サクラは本から顔をあげて女の人を見上げると、わかっているが、一応そう聞いてみる。
「はたけ上忍のことなんだけど・・・」

   やっぱり。
   それで、こう言うんでしょ。
   『別れて』って。

「はたけ上忍があなたみたいな子供、本気で付き合ってると思うの?別れなさいよ。その方があなたのためだわ。」
予想通りの言葉にサクラはうんざりして、冷静に切り返す。
「その、いかにも私のため、みたいな言い方はやめてください。どこが私のためなんですか?自分のためでしょ。」
「なっ・・・」
サクラの意外な反撃に女性は言葉に詰まった。
「一度先生と寝たくらいでイイ気にならない方がいいですよ。貴方だけじゃないのだし。」
「・・・どういうことよ?」
サクラはふん、と女の人を馬鹿にしたように鼻で笑うと言葉を続けた。
「だから、貴方は先生が気まぐれに手を出した大勢の中の一人ってことです。」

実際、最近よくサクラはカカシが一夜を共にした相手に絡まれていた。落ち込む暇もないほどに・・・

「そうねぇ、あなたがいくらかわいくても・・・その身体じゃ、ね。はたけ上忍を満足させれないでしょうよ。」
今度は女性が勝ち誇る番だった。見下ろす目が無遠慮にサクラの幼い身体を舐めるように見る。
「それとも、その歳ではたけ上忍が離れられないほどの床上手なのかしら?」
あからさまな挑発に、サクラは眉間にシワを寄せた。
「そんなことないですよ?私は先生しか知らないのだし。でも、貴方と違って愛されてるから。」
サクラの無邪気にも聞こえる言葉と無垢な笑顔に、女性は隠された言葉を聞く。

   貴方は身体だけ、愛はないのよ?
   貴方は私の身代わりのニセモノ。

畳み掛けるようにサクラは言葉を続けた。
「どうでした?昨日の夜は。・・・先生は貴方を抱きながら、私の名を呼んだでしょう?」
サクラのカマをかけた言葉は、真実を言い当てたのかもしれない。
怒りで身体を震わす女性は、遥か年下の少女相手にすっかり余裕を無くしていて・・・ピシャリとサクラを平手で殴ると、そのまま何も言わずに図書室を出て行った。


   ばかみたい。

   余裕のあるふり
   自信のあるふり
   愛されてるふり
   『ふり』ばかり・・・・・

サクラを支えているのは『女としてのプライド』と『カカシを好きな気持ち』だけだった。




「よぉ、紅!お前サクラがどこにいるか知らない?」
カカシは廊下の向こう側から歩いてくる紅に声をかける。
図書室にいるはずのサクラが見当たらないので、カカシはその辺りを探し回っていた。
紅はカカシに近づきながら、裏庭で見かけたことを告げる。
『ありかとう』と短く言い、裏庭へ向かうカカシの肩を、紅がすれ違いざまに軽く叩いた。
「?」
「女をナメてると取り返しのつかないことになるわよ?」
意味深な言葉に、問いただす間もなく紅は歩き去る。
「なんなんだぁ?」
カカシは不思議そうな顔をしていたが、そんなことより・・・と、サクラがいる裏庭へ向かった。

先ほど図書室の前を通りかかったとき、紅はサクラが絡まれているのを見た。
助けようかと暫く様子を伺っていたが、余計な心配だった。
年上の女と対等にやり合っていたサクラを思い出し、紅は微笑む。
   悪いのはアンタよ、カカシ。
   サクラちゃんだって立派な『女』なんだから・・・



「サクラ、図書室にいないから探したぞ。」
アカデミーの裏庭で、ベンチに腰掛けて本を読んでいるサクラを見つけ、カカシが駆け寄ってきた。
「・・・探してくれたんだ?そのまま帰っちゃうかと思った。」
サクラはカカシにも聞き取れないような小さな声で呟くと、本を閉じて顔を上げる。
「どうした?」
いつもと少し様子が違うサクラに気が付き、カカシが心配そうに尋ねた。
「・・・なんでもない。」
何度尋ねても、サクラは頑なにそう言い張るので、カカシは質問を替えた。
「図書室で待ってるの退屈だったとか?」
カカシは図書室、という言葉にサクラがピクリと反応したのを見逃さなかった。

   まだサクラにちょっかい出す身の程知らずがいるのかねぇ・・・
   あらかたシメたはずなんだけど?

カカシが不穏な考えに没頭し始めたとき、サクラの掠れた声が聞こえた。
「せんせぇ・・・もう、限界。」
そう言うと、予告もなしにエメラルド色の澄んだ瞳からぽろぽろと涙をこぼし始めたサクラを、カカシが驚いて見つめる。
「せんせぇは、・・・私・・だけじゃダメなの?・・・どうして・・他の女の人を、抱くの?・・・どうして・・どうして私を抱かないの?・・・」
『どうして』を連発しながら、サクラはカカシの胸を両の拳でドンドンと叩く。
カカシはサクラが『女』の存在を知っていたことに呆然となった。

   ・・・いつから、知ってた?

何も言えず立ち尽くしているカカシにサクラの声が突き刺さる。
「抱かないのじゃない・・・抱けないのよね?先生の意気地なしっっ!」
サクラはカカシに持っていた本を投げつけ、吐き捨てるように叫ぶと走り去ってしまった。



   どうしたら、いい?
   自分の歳の半分にも満たない少女を抱けと?
   イヤ、自分は抱きたいのだ・・・まだ幼いあの少女を!

   悪戯にサクラに触れては、サクラの反応を楽しんでした。
   サクラが満足できれば、それでよかった。
   しかし、いつのまにか自分の欲望を満たす為だけに、サクラに触れる自分に気がついた。

   最悪だった。
   何度もやめようとしたのにサクラに触れることを止められない自分。
   サクラの身体に触れるたびに抑えてきた衝動。
   どうにもならない欲望を、他のオンナを抱くことで紛らわしていた。
   もし、自分の思いのままにサクラを抱けばどんなことになるのだろう?
   一度でも抱いてしまえば手放せなくなるのは目に見えている。
   毎日でも、何度でも飽きることなく抱いてしまう。
   そんなことになれば、サクラの幼い身体ががもたない・・・
   大体、サクラの身体が自分を受け入れられるか、解らない。
   ・・・自分がサクラを壊してしまう・・・それが一番怖かった。

けれども、カカシ自身も我慢の限界を感じていた。

   いくら外でオンナを抱いても、それはサクラの代わりになどなりはしない。
   だって、自分はオンナを抱きたいのではない、サクラが抱きたいのだから。

   覚悟をキメル?




夕食もほとんど手をつけず、サクラは早々に自分の部屋へ戻るとベッドに潜り込んだ。

   先生、きっとあきれてる・・・
   やっぱり子供だって思ったよね・・・?
   でも・・・先生と別れるなんて、イヤ!!

サクラは、また溢れてきそうになる涙を下唇を噛んで堪えた。
木の葉の里で、女の子が結婚して良いとされている年齢は15歳とされている。
サクラにはまだ3年も先のことだ。
カカシが自分を抱かないのはそう言う理由だとサクラは思っていた。

   社会的に認められない関係。
   上司と部下。
   世間体とか、倫理とか・・・
   それがなんだっていうのよ?

カタン、という音と共に外からの澄んだ空気が入ってきた。
「え?」
身体を起こし、窓の方を見たサクラはそこに佇む人影を見た。
「先生・・・」
「サクラを攫いに来た。」
カカシはそれだけ言うと有無を言わさずサクラを抱き上げ、入ってきた窓から外へと身を躍らせた。




着いた先はカカシの家。

サクラはカカシのベッドに降ろされた。
終始無言だったカカシがやっと口を開く。
「今からサクラを抱く。もう決めたから。」
そう一言いって、カカシは自分が着ている忍服のベストとアンダーシャツを脱ぎ捨てると、無駄のない鍛え抜かれた上半身を晒した。
続けてカチャカチャとベルトを緩める音が響く。
いきなりのことに、サクラはなんて言ったらいいのか解らず呆然とカカシを見ていた。
「いつだって、オレはサクラを抱きたかったんだよ。」
カカシはサクラの忍服にも手をかけると、ジッパーを下まで一気に引き降ろした。
「サクラも覚悟して?途中で止められないから。」
いつものようにアンダーシャツをたくし上げると、カカシはサクラの膨らみかけた胸に舌を這わす。
「ひゃっ」
ビクリと身体を震わせるサクラに、カカシは何度も刺激を与えた。
スパッツだけを引き降ろすと、薄い下着の上から焦らすように割れ目に沿って撫で上げる。
「あ・・んっ・・」
先ほどの胸への愛撫だけでしっとりと湿ったソコに、カカシは下着の脇から指を差し込むと、サクラの芯を中心に円を描くように指を這わせた。
「いやぁ・・・・・んんっ・・」
「いや?すごく濡れてるけど?」
カカシの指はは構わずサクラの花弁の内側を掻き回し続けている。
「おね・・が・い・・・下着・・ぬ・が・・せて・・・」
サクラの言葉にカカシは一度指を引き抜くと、頭を下へと移動させ、下着を口で咥えてずり降ろした。
そのまま舌でサクラの蜜を舐める。
「はっ・・ぁん・・・あっ・・・」
熱い舌で敏感なところを刺激され、一気に押し寄せる快感の波に堪らず、サクラは甘い喘ぎ声を漏らす。
カカシはサクラが傷つかないように気をつけながら、押し広げていく指を1本から2本へと増やした。
最低でも3本の指を受け入れられなければ、カカシ自身の挿入は難しい。
カカシは3本目の指をサクラに添えると第一関節まで入れた。
「あ!」
サクラは少し痛そうに顔をしかめたが、イケルと判断したカカシはそのままゆっくり指を埋めていく。
根元まで入れてしまうと、カカシは嬉しそうにサクラに口付け、舌を絡めた。
   意外とイケルかも?
予想外のサクラの身体の反応に、もっと早く試せば良かった、などと不埒なことを考えながらカカシは指を動かし始める。
いっぱいにカカシの指を受け入れているサクラのそこからはくちゅくちゅと卑猥な音が聞こえてきた。
「ね、サクラ・・・痛い?・・・わけないよねぇ?」
サクラはもうすでに快楽に身を委ねており、意味のない喘ぎ声しか発していない。
カカシは指を3本とも引き抜くと、摩り替えるように自分自身の挿入を始めた。
いつもと違う感覚にサクラは身体を硬くする。
「サクラぁ、力・・抜いて?もう半分は入ってるから・・・」
サクラの締め付けに、カカシは顔をしかめながら囁いた。
「や・・・も、・・む・・り・・・・」
途切れ途切れのサクラの声に、カカシは少し考えてから尋ねる。
「サクラ、太った?」
「え?!うそっっ」
一瞬、素に戻ったサクラの隙を突いてカカシは一気に奥へと侵入した。
「うそ。・・・くくく。今ので全部入っちゃった。」
サクラが落ち着くまで、なるべく動かないように気をつけながらカカシは薄紅色の髪を梳く。
「もう、他のオンナは抱かない。サクラだけいればいい。」
カカシの優しいトーンの声と、髪を梳く手にサクラはうっとりと目を閉じた。
「サクラが壊れないかどうか・・・それだけが心配だったんだけど、大丈夫みたいだし。これからは遠慮なくヤラせて貰いますv」
「え?」
さらりと不穏なことを口走ったカカシを、不安げにエメラルドの瞳が見上げていた。
「くっくっく・・・」
また、カカシは喉の奥で可笑しそうに笑うと、下半身の違和感に慣れてきた様子のサクラへ声をかけた。

「動くよ?」








2002.01.14
まゆ