heaven’s door −sakura−




私を…私達を守り続けてくれたあの人はもういない。
その現実を受け入れられずにサクラはただただ空を仰ぎ見た。

人は死ぬと天に昇るという。
死者の国への扉はどこにあるのだろう…?

粉塵が巻き上がり厚い雲に覆われた空を見つめて目を凝らす。
しかし生者には扉は堅く閉ざされたまま……。
サクラはほうっと息を吐きその瞳を眼下に広がる里へと向けた。
…正しくは、里であった場所に。

瓦礫の中からだって、私は希望を見つけられる。
そんなふうに育ててくれた。
だから大丈夫だと伝えたいのに……
いや、大丈夫だと知っているからこそあの人は一欠けらの気配も残さず消えてしまったのだ。きっと。



先生…
あなたがいたからどんな時も安心していられた。
あなたがいたから笑っていられた。

あなたのようになりたいと、今、心からそう願う。
あなたのようになってみせるから……

だから待っていてください。

私が扉を開ける、その時まで。





カカシ先生追悼SS。サクラバージョン

2009.01.02
まゆ