heaven’s door −kakashi−




「さて…お前はどうする?」

ゆっくりと腰を上げた父が自分を見下ろす。
此処でどれぐらいの時間が経ったのかはまるで見当が付かず、カカシは少し考え込んだ。
下界とは時間の流れが違うのだろう。
一時間のようにも感じるし、すでに十年以上経ったようにも感じる。

「もう少し此処にいるよ」

父とは話し尽くした。
先を急ぐ旅でもない。
父のように此処で誰かを待つのも一興だとカカシは思った。

「そうか…では俺は先に行くとしよう。またな、カカシ」
「うん。またね」

二度目の別れは何の遺恨も残さず…見送る父の背中はあっという間に闇に溶けこんで消える。
あまりにもあっさりとした別れにカカシはくすりと笑った。

目の前の、消えることのない焚き火は誰が灯したものなのか。
カカシは揺らめく炎を見つめながら次に此処を訪れるのは誰だろうと想像する。

真っ先に除外するのは自分の部下達だ。
彼らがそう簡単に死ぬわけが無い。

一人はうちは一族…その中でも天才の部類に入る男。
一人は九尾を宿した先生の…四代目火影の子。
一人は木の葉の三忍、綱手の愛弟子に納まったとびきりの医療忍者。

三人とも自分を追い越して…更に成長し続けるだろう。
この目で見れないことが残念だ。
……心残りといえば、それぐらい。



恋をして、子を育て…年を取って此処に来い。
どんな姿になってもお前達を見間違うことなんてないから。

そして積もる話をしよう。

オレが父とそうしたように。









カカシ先生追悼SS。カカシバージョン

2009.01.02
まゆ